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消費税総額表示義務化と書店巡回を考える

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消費税総額表示がもう始まってたことに、Twitter朝日新聞で「文庫フィルムパック」の記事を見て漸く気がついた。

www.asahi.com

 この報道だ。タイトルの通り、今年4月から発刊される講談社の文庫にフィルム包装を施し、フィルムの上に値段を表示したシールを貼って出荷するようになっている。総額表示義務化対応のためということだ。

最初に見た時は「メンドクサっ」という感想だったのだが、投稿へのリプライを読んでいるとあらゆる問題を孕んでいることがわかって、面倒などという適当な言葉では片付けられないと不安を感じている。

Twitterで最初に話題になってから(少なくとも我がTLでは盛り上がってた)数日経ってからの記事掲載だから、単に反響だけを狙ったものじゃなくて朝日も書いた記者の方も疑問に思ったか、社会に問題提起したかったものと推察する。

 ■メリットとデメリット

まず賛否両論ある中ですが、私は否定派。だって講談社コミックの包装ものすごく開けにくいんだもん!他人が触ったかどうかよりも、うっかり切りつけたり、折りグセつけてしまう方が嫌だ。ご存じない方に説明しておくと、コミックコーナーで書店員さんが作業されているシュリンク(ガサガサするやつ)と違って上下までぴったりと閉じられています。せめてキャラメル包みとかならいいけどフィルム代と機械代が嵩むから選択肢に上がらんのだろう。ていうかガサガサする上下開いてるやつじゃいかんのか?

Twitterを眺めているとメリットとして「返本を含めた流通上で破損しにくい」「きれいな状態の本を購入できる」「立ち読み邪魔だったから助かる」が取り上げられることがわかる。ヤフコメは賛成派のコメントが多い。

一方のデメリットは、大別すると「開けにくい」「プラゴミが増える」「中身を確認できない」といったことだと思う。

ちなみに下の記事によると書店側で開封し、見本として置くことは可能らしい。

www.bunkanews.jp

 じゃあ「中身を確認できない」はデメリットじゃなくなるね、と賛成派の方は仰るかも知れない。QRコードなどで電子書籍の見本を見ればいいじゃない言う人もいるだろう。

違うんですよ、見本は結局ロスになるし、全部開けて総額表示の工夫させられてたら書店側の負担は大きいまま。全作品見本は置けないし。中身を確認したいのは人によるけど本文の内容だけじゃなくて解説、文体、発行日、人物紹介、色々あるでしょう。

前述した通り、めちゃくちゃ開封しにくいので大丈夫だとは思うのだけど、フィルムが破けたりした時はどうするのだろうかとかも気になります。番号打ち込んで調べるのは大変。

また、十二国記の新刊が出た時、丸善ジュンク堂は書店員さんが作ったペーパーを同封してくれたけど、直接書店員さんと話したわけではないけど、同志というか、共感からの喜びみたいなのを味わえてすごく嬉しかったんです。だから、本屋さんって品揃えや並べ方までとっても、ただ本を買う場所ではないと思うのです。

とはいえ、長時間の立ち読みや平積みの本の上に荷物を置く人などは迷惑だし、誰が触ったかもわからないようなものを購入したくないと考える人がいるのもわかります。結局は個人のモラルの問題であって、それは出版社が気にすることじゃないと思う。

■本屋へ行く頻度は変わらずとも、私は買わなくなる

本好きが書店にわざわざ行ってるのは初めての作家や作品に出会う体験が大部分を占めていると思います。特にこんな外出を自粛せざるを得ない状況で出かけるのには気力と労力がいりますよね。そういう時に指名買いする本ってよっぽどAmazonを憎んでいるとかでもなかったら通販したほうが楽じゃないですか。それでも行くのって「面白そうな本ないかな」の気持ちが大半。そういう時に帯やカバーのイラストだけじゃ判断材料が少なすぎる。

逆に1冊しか残ってなくても気に入った本ならちょっとよれていようが買う。というか通販しても角折れとかたまにあるし。

そもそも本のジャケ買いは一度痛い目にあっているので(とんだエロ小説だった)二度としないと心に決めているという個人的な信条があって、包装されているなら確実に講談社文庫買う頻度は下がる。そして生粋のめんどくさがりで、なおかつ書店ではカゴが必要なほど本を抱えていることが多い人間からするとスマホを取り出してQRコードを読み取って見本をチェックするなどということは絶対にしない。

個人的にはバーコードや価格を表示しなくていい分、カバーのデザインの自由度が上がる点についてはメリットだと思っているのですが、結局そこにQRコードなんてあったら台無しだと思ったり。

書店にとってのデメリットのほうが大きいんじゃないかなあ。講談社のカバーは元々つるつるだからともかく、他社の紙質でそれやられたら幻滅しそう。結局ああいった包装は廃棄するところを考えてしまって棚に並べると美しくは感じないと思う。

願わくは、どうか他の出版社が追随しませんように。

■諸悪の根源は出版社ではなく……

最後に、装丁や字体がどう、とか、そもそもの内容がどう、とかこれまでも散々講談社文庫をディスってきた私が言うのもなんですが、真に悪いのは総額表示の義務化。たぶん出版社もやりたくてやってるわけじゃない、苦肉の策だったんだと思う。文化通信の記事にあるように、たまたま包装ラインを持っていたことから出た案でしょう。

電子書籍に完全移行してもいい人は大勢いらっしゃるのだろうけど、出版社に就職する人は本が好きで入ってるだろうから紙の本の良さもご存知のはず。

それにしてもこの法律考えた人は税率が変わるたびに書籍のカバーを印刷しなおし、付け替えてたらとんでもない手間と費用がかかるのに、そんなことも思い至らなかったのかわざとなのか。そもそも今回の方法だって税率変わったらフィルム剥がすか上からシールの貼り直しをするかで大変ですよ。プラスチックって石油からできてるんですよ、知ってました?(笑)

まあこれ以上消費税を上げないという意思表示ならいいのだけど。財務省さん、下げたり0にしてくれるのは一向に構わないので、そうしてくれるならカバー変更代上乗せされてもいいよ😉というところで本日のボヤキは終了。