だって美味しいんだもの

旅の記録や日々の備忘録。なかなかダイエットが続かない

読書の能力を取り戻せたのかの顛末

先日書いたこちらの記事の通り、長文の物語を読めなくなっていました。

muscle14106apfel.hatenablog.com

思いつく限りのリフレッシュをしたところで、ちょうど通勤のお供にしていた西加奈子さんの『ごはんぐるり』を読み終えたので、恐る恐るながら止む無く積読となっていた『身分帳』に切り替えました。

すると、するすると文字が頭へ入ってくる。読めるッ、読めるぞーッ!

慣れない言葉が多い序盤のため読むスピードはゆっくりなものの、繰り返し読むことなくすんなりと進むことができるようになっています。良かった。ガチで読めなくなっていた時よりは軽度だったようです。あの時は読む気力すらも失っていっていたわけだし。

 

ただ、それとは別になんとなく読みにくさというか圧迫感を感じて考えていたのだけど、文字が原因なんじゃないかと。人それぞれ好きなフォントやサイズがあるように思う。好きというか親しみやすさだろうか。

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我が家の本棚を眺めていると(大手だけで見ると)所持数は新潮>文春>角川>講談社の順。新潮文庫の手触りとか紐のしおりだとか紙の色、そもそもの作品のラインナップが好みに合っている。

一方、我が家で一番少なかった講談社文庫はどうかというと、なんとなく積読してしまっているものが多い気がする。その理由はたぶん、文字がギチギチしていて圧迫感を感じて読み進めないことだ。そして『身分帳』はその講談社文庫である。

余白自体はパッと見では他社の文庫本と変わらないように見える。

それでは文字数か?1行あたり40字、1ページに17行。 

ちょうど手元にある『東の海神 西の滄海』(新潮文庫)と先ほどの『ごはんぐるり』(文春文庫)を数えてみるとそれぞれ、1ページ17行39字と16行38字だった。つまり、余白が同じならptと行間とか字間が小さいのか……?

というわけで検索してみたところ、大変興味深い講演レポートが出てきた。

www.shinchosha.co.jp

現在の活字は、「仮想ボディ」と呼ばれる枠をつなげて組を作ってるんですが、講談社文庫では仮想ボディをやや大きくして、かつ少しずつ重ねてるんですね

今はヒラギノ語で少しゆとりがあるということで、手元にあるのは新装版だから、これでも読みやすくなっているのか……という驚きもあったが、ルビが単語からはみ出ているところも含めて、言葉をお借りすると本当に「アダダダダダ!」と攻撃を受けている感じがしっくりきた。

かと言って文字が大きくて間隔も開いてたほうが読みやすいかというとそうでもないんですよねえ。啓発本とかでも「これは説得力ありそう!」って思うものと、そうでもないものがあって、「パワーポイントでプレゼンでもするんか?」って感じの余白だらけのページが多い本は個人的に信用していない。講演レポートの後編を読んだ上でわかったのは、文章そのものや時代に合わせて「読みやすさ」は異なるし、文字や組み方の印象と本文への印象は強くリンクするということだ。自分でも企画書とか作る時は意識してみよう。

うーん、でもこういう意味で読みにくい本は攻撃受け続けるしかないのか。まあ、こればかりはデザイナーさん、編集者さんをはじめプロを信じるしかないですね。電子書籍ならフォントを変更できるそうですが、まだ私は紙の本が好きなのでむしろその文字組や装丁まで味わいたい。

なので最後に私が愛してやまない新潮文庫の、文字へのこだわりについての記事を発見したのでご紹介して、今日はおしまい。

www.1101.com